『修身教授録』第一部読んで
岸田内閣の迷走が続いていて、保守層は怒りを通りこして呆然な状態だと思います。直近の佐渡金山の世界遺産登録推薦の件とか、オミクロン株濃厚接触者の受験生の受験拒否とか、アドバルーンとは思えない、政策発表から世論の猛批判を受けての急激な方向転換、さらに、責任を官僚に押し付けるので、背中からピストルを撃つ人と言われている卑怯さは、社会でもまれている社会人が大半の有権者から見れば、岸田総理という人は基本的な能力と人格を欠如した人物としか見えないでしょう。政権の中枢を担う、自民党幹事長、外務大臣、内閣官房長官などの能力や人間性もどこまで悪影響を与えているのかは不明ですが、バカな政策をマトモな形に少し押し戻してくれている安部元総理、高市政調会長、青山参議院議員などがいるので、まだぎりぎり崩壊から逃れられている印象です。絶望はしないけど、光が見えてこない状況に、どうしてもため息が出てしまっている毎日です。
そんな状況の中でできることは自己啓発、人間学の勉強、理論武装です。致知出版社から出ていて、同出版社のロングセラーとして有名な『修身教授録』を致知の次月号が出るまでの間隙を縫って半分まで読み進めました。これは国民教育の父と言われる森信三さんが昭和12年、13年の2年に渡って大阪の天王寺師範学校で修身の授業を担当した際の全講義の口述を筆録したもので、半分ということは昭和12年(1936年)分を読み終えたといことになります。昭和12年というのは、6月に近衛内閣発足、7月に日中戦争勃発という大変な年で、不穏な時代の真っただ中という頃です。それでも本書ではそんな時代の雰囲気を全然感じさせずに授業の様子が伝えられてはいます。
この本は、致知に掲載される多くの対談の中で対談者が影響を受けた本として頻繁に語られるほど有名なもので、上述のとおり、森先生が、これから小学校教師になろうとする師範学校の生徒に、小学校教師となるにあたっての心がまえを一回1時間、年40回に渡って語ったことを記録しています。どんな内容か見当がつかなかったのですが、読んでみると、(単純化して言ってしまいますが)小学校教師の使命とは、どのような小学校(または上級の学校の)教師になるべきか、理想の教師とはどういう教師か、そういう教師になるためには、いつからどういう心がまえで修養するべきかなどを滔々と述べています。口述なので結構繰り返しも多いし、冗長な文章になってはいますが、それが森先生の情熱や思いの強さを感じさせるようになっているのでした。ポイントは、森先生の言い方と比べると俗っぽい表現になってしまいますが、手を抜かずに何でも最高を目指すこと、できる範囲で自分の死後も影響を残すような成果を示す目標を持つこと、長期の視点で今からすることを意識すること、良書を読むこと、などと思いました。
この本を読んで特に感じたことは、こうです。森先生は、国家、日本民族の将来に貢献しろとよく口にしています。この頃の日本は、明治維新を経て近代化し、世界の列強の仲間入りをしたものの、まだ日本らしさは多いにあり、日本の行くべき道を外国の干渉を受けることなく進もうとしていて、その反動で他の列強から警戒され、干渉も強く受けるようになっていました。そんな時代だから、国民の目は、まだ国家とその国民たる日本民族にしか向いていないのです。この時代まで特に、日本という国ほど、国家、国民に貢献するという意志をもって生きた国民はいなかっただろうと思います。現在にみるような、国家はグローバリズムに組み込まれ、国民にも地球の一員として生きているような人が多くなったような日本ではなかったということが、森先生の言葉から感じられたのです。ナショナリズムの行き過ぎはよくないとは思いますが、外国と適度に協調したナショナリズムこそ理想という思いを強くしました。
『修身教授録』第二部は、昭和13年4月から一年間の講義録になります。一体、生徒が一新されたクラスの前で前年の12年とどう違った内容で話すのだろう、同じ内容にはならないのだろうか、と半信半疑ですが、続けて森先生の心のこもった話を聴いてみようと思います。
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