空虚な防衛増税騒ぎ

防衛予算増額の財源を一部税金で賄うよう岸田総理から指示が出たとの報道をきっかけに、与党の自民党議員からも反対の声が多く上がって、大騒ぎになっているが、これもまた虚しい政治動向に思える。何故なら、本来は、防衛予算を拡大することは、世界情勢を考慮すれば必須のことで、予算の財源がどうのこうのというのは大して優先順位の高いことではなく、もっと協議に時間をかけるべき重要な事項がたくさんある。それは、防衛に関することで言えば、日本を守るための軍事面での予算の活用の仕方を始め、サイバーセキュリティの増強、外国との軍事的な協力体制確立、対中国・北朝鮮・ロシアなどとの対峙の仕方、軍事面以外の安全保障(食糧自給率向上による食糧確保)など、きりがない。政府や国会が協議をするべきことは、それに防衛だけではないのだ。そもそも、国民が生きてゆくうえで欠かせない食糧供給(安保とは別の意味での衣食住のような生活の必需品という意味の)や、安定エネルギーの確保、そして、日本は何よりも近未来に発生が危惧される南海トラフや首都圏の大地震、それから富士山や阿蘇山の大噴火など自然の防災対策だ。防災対策をしておくのと、していないのでは損害額が2桁も違うし、人命だって同じように救える数は膨大に違うはず。日本の政治が少しでもまともになって、防災に真剣に取り組むことを本当に願っている。

話を元に戻して、防衛予算に関する大騒ぎはまた保守陣営にも分断を起こしているように見える。私の知る限り、多くは、ちょびっとでも税金を上げて対応することはまかりならんという感じだが、経済にとても強い西田昌司参議院議員は、増税の対象である法人税の増税に関しては、企業の内部留保の増大でお金が市中に出回らない事態の原因にもなっているので、その歪みを正す良い機会と捉えていて少数派の一部を形成している。高市さんは当初は反対の声をあげて、政策そのものよりも自分をスルーする官邸のやり方にツイッターで不満を公表したこと自体が大きな話題になったりしたが、その後、この財源案は良いかもなどと言っているらしい(詳細を見ていないのでこれは半信半疑ではある)。さらに闇のクマさんも動画で岸田政策っを評価したりしている。そもそもの話として、度重なる消費税増税や、自動車にまつわる二重課税等の税制、電力料金への再エネ付加金、東日本大震災の復興特別税、消費税増税を人質としてなされた法人税減税、じりじり立法なしに金額が引き上げられている厚生年金や健康保険などの社会保険など、国民として納得の行かない税や、税に近い社会保険の制度が滅茶苦茶なので、それらを少しずつ改正しようと努力してもそれが全体として正しい方向なのかどうか、誰にも理解不能な状態になっていると思う。私などは、西田さんの説明を聞いて、単純な国債発行よりは、税制の歪みを少しでも正す方向のほうがよいなと思ってしまうところもあるのだが、私が現在一番信頼している私のメンターたるジャーナリストの山口敬之さんはこの増税の方針にはアメリカ政府の影響の影があるからであって、政策そのものではないにしろ批判的であるし、私の判断には全然自信は持てないというのが正直なところだ。

そんな状況だから、長期で使用するものも多い防衛費であり、いくつもの世代で負担すべき費用であるので、国債で賄う、ということをスパッと決めて、他の多くの重要事項の検討を進めて欲しいわけである。

参考までに西田昌司さんの動画です→大混乱の防衛費問題!!復興税の転用はありえない、財源は国債!課税するなら大企業の「内部留保」だ!

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