地方繁栄の道を考える
統一地方選が近づいてきて、選挙活動のイロハでも勉強しようかと大きなブックオフで本を探したところあまりその手の本は見つからず、代わりに目に入ったのが、『凡人のための地域再生入門』(ダイヤモンド社)という本でした。参政党は、今度の4月の統一地方選をターゲットにして、全国の県市区で候補者を立てて地方の議員を輩出し、地方の声も聞いて、国政にも反映させるネットワークづくりを構想しています。地方の選挙で戦うには、地方固有の課題・事情・状況を知る必要もあるし、発展・再生スキームがあるなら政策を考えたいと思ったことと、純粋に地方の再生から日本の国力の強化ができればとの願望があるので、この本を読んでみたくなりました。地味な本ですが、良い値段がついています。ネット書店とかで見てみるとやはり価値が認められいる本でした。
私は旅行とかして地方の商業地域としての疲弊ぶりを見ても心を痛めるだけで、そういう地域を再活性化することなどは考えたことはありませんでしたが、この本、読んで見ると、そういう道が存在することを教えてくれて、読み進めながら目からウロコが落ちた思いでした。ただ、実際に始められる可能性は本当に少ないでしょう。現実的な話として、この本は、様々なシチュエーションで応用出来る柔軟な思考の仕方、気持ちの持ち方のヒントをもらえるということで価値があるように思えます。テーマのユニークさ、それでいて応用がきくノウハウを得られるという特性があって、こういう本はそう多くはありません。その意味でも、まさしくこの本は良書と言えます。Amazonでも5点満点の4.4で、コメント数が500超えだからかなりの高評価本ですね。
この本のエッセンス。小さいところから始めて、仲間を増やし、活性箇所を広げて行く、というやり方が地域再生のポイントということです。活気のない町で店舗経営とか、企業とか考えるかはともかくとして、これはという成算のある店舗を思いついたとして、繁盛を広げようとは発想しないと思いますが、自分だけではなく、仲間を得て、一緒にやる、または、仲間にやってもらうというのは新鮮な考え方です。一方で、良い仲間を得ることはまああるとしても、悪い仲間が入り込む、外から悪い干渉を受ける可能性も同じぐらいあります。こういう試練があるので、成功まで一直線とは行かない。この本は、そういうネガティブな事象への対処の仕方の示唆もしてくれます。
また、起業時に考えるのがマーケットの大きさでしよう。活力のない、高齢化している、人口も減っている町で、お客を掴むことは容易でないと誰でも考えます。ところが、現代の、特に地方では、幸か不幸か車社会になっているので、町という区域の限定は必要ないとこの本は言います。魅力があれば、車で一走りの町からもお客が来てくれるのだと。なーるほど、ですね。
このようにこの本は逆転の発想に溢れていて、頭を刺激してくれることが素晴らしいのですが、実践のハードルはやはり高いでしょう。多分それは、凡人のためのと謳いながら本の登場人物は非凡なものを持っているからでしょう。小さな町に様々なスキルを持ったそれなりの能力のキャラクターが揃っています。ま、ネガティブ思考な人が突っ込むとしたらココですね。マクロ的に考えてみると、衰退した地方の町は、人も減り、商業施設も減り、何もないからこそ、町を楽しいところにするためには、必要なものが一杯あり、その分、チャンスも大きいと言えます。私自身は、何か考えてみたくなったというのが正直なところです。
さて、本来の目的の参政党活動での応用ですが、私の所属の地域は東京杉並で、地方の田舎でも、都市でもないので再生の対象とは言い難いのですが、それでも、正確に言えば私の地元の場合、最寄駅の商店街は、店の継続だけでヒーヒー言っている様なところが多く、人気店と言えるような店は多くありません。やはり地元なので、ここが華やかならいいなぁと思います。では、ここを本で学んだことを活かして、このような地域を活性化させるとすると、条例をつくり、予算を作る議員、議会が何をするべきか、何をしてはいけないか、行政を担当する区役所の役職員たちは何をすべきか、何をすべきでないか、議員たちは彼らにどう働きかけるか、など見えてくるところがあります。そういう視点で、有権者たちに何をするかをアピールすれば、「おお、この候補者、この党、違うね」と思ってくれるのではないでしょうか。有権者の期待は経済ばかりではないですが、経済=生活で、アピール度は高いです。
具体的な政策はこんなものが思いつきました。
- 飲食店には地産地消のメリットを説き、地産地消をしやすい物流環境を構築する。
- 地域に根ざした金融機関を有効活用する。
- 空き店舗の家賃を下げさせて借りやすくする不動産流通政策
- 税金を下げて、無駄な補助金をカットし、その分を起業家誘致などの支援に回す。このとき、支援した後は干渉しない。
- 納税額を前年から増やした企業には何割かのキャッシュバックをする。
- 行政自体はイベントや事業などは一切やらない、予算も取らない。
- 区市外からの利用者を増やすインセンティブ制度を導入する。
そして、もうひとつ重要な政策。この本では役所の公務員たちをボロクソに叩いていますが、公務員たちの成長を助ける、という政策は目新しくてインパクトがあるのではないかと思います。行政は役所の公務員が行うものなので、会社勤めや事業経営の経験が乏しく、地域の活性化を主体的に出来るわけがないから、役所は何もしないのが最良の選択という意見は強いです。でも役所や公務員は必要な存在でしょうから、首長、議会、議員はいかに彼らを活用するかを考えないといけません。参政党の神谷事務局長は、人は一生学ばなければならないとハッキリ言っています。世の中には好きでグズなままでいたい人も膨大にいるので、このスタンスを受け入れる人、受け入れられない人で大きな格差ができるでしょうし、一層のストレス社会を生みかねない危険はありますが、程度の差はあれ、神谷さんの考え方は、せっかく得た人としての生を最大限によいものとするためには、受け入れてほしいし、少しづつでも学んで行く人を受け入れる社会にしたいと思います。公務員とか、果ては議員、首町まで、地位に安住せずに学んでいけば、民間と共に地域再生のプレイヤーになれるのではないでしょうか。選挙戦の公約として、地元の役所の公務員たちの成長を助ける、なんて、何様と思われるので、言いづらいですけどねー。
最後にこの本のコンセプトからはかけ離れてしまいますが、東京の武蔵野市の外国人へ住民投票を与える条例の導入とか、最近の熊本市の外国人を市政に参加させる(投票権を与えるわけではないが市政の活動に参加できる)よう制度を書き換えるとか、外国人を地方で勢力拡大させ、日本を地方から切り崩そうとするような地方での動きが目立っています。地方を活性化させることは、地方の人々の視野を広げることにつながります。地方を元気にして、日本国の地盤を固めて行くことは未来にとって極めて重要なことと思います。