馬渕大使の『道標』は必読書

昨年春頃に出版された、馬渕大使の少し異質な著作、道標を読了しました。この書物は、馬渕大使を信奉する私などから見れば、読む前から興味津々の内容であることはハッキリしていました(それなのに読んだのが大分遅くなった理由は察していただきたく)。馬渕大使はディープステートの存在について現代日本の知識人の誰よりも早く公言されていたかたです。これだけで大使が傑出していることがあきらかなのですが、DHCの和の国の明日を造るから始まる大使のひとり語りを拝見すると、大使の唯一無二な人物の雰囲気を感じるのでした。表現が難しいのですが、根っこは、愛国者で日本の本質をトコトン熟知されていて、多少神掛かっているところがあり、別の世界の事もよく知っているように見え、それでいて、偏狭なナショナリストではなく、日本が他国を全て誘って調和した世界を作り上げるような思想をお持ちなのです。そんな大使はどう言う出自で、今の人となりとなっているのか。この本が、プライベートな部分を含めていろいろ教えてくれることを期待しました。

読んで見て、それがどう分かったと言いますと、あまり大使の半生の振り返りのような要素は多くはない印象でした。多かったのは、大使の考え方、哲学、思想が垣間見える大使の質問への回答です。この本は、全編インタビュー形式を取っていて、恐らく、インタビュアーは当時、ネットTV会社の未来ネットの浜田マキ子さんと思われます。浜田マキ子さんは、未来ネットで制作した大使の『ひとりがたり』を見ても、大使を熱烈に信奉されていたので、このインタビューでも大使へのレスペクトに溢れていました(浜田マキ子さんについてはひとりがたり復活を参照ください)。まるで神のよう。そして、そんなレスペクトがあるので、質問と回答は非常にスムーズに流れて行き、とても読みやすいし、大使の主張を整然と引き出してくれます。大使の一連の「ひとりがたり」シリーズで聴ける内容から大使の主張や思想は何となくは分かっている人は多いと思いますが、大使の根底にあって一貫している人の生き方、世のあり方などに関する絶対的な価値観がこのインタビューでは知ることができます。大使って、マクロ的な言い方をされることが多いですが、基本、マクロがあって、それに従った細部があるということでしょう。比ゆ的に言えば、今の日本国憲法や、明治期の大日本帝国憲法のような細部を取り決めた憲法などいらず、聖徳太子が定めたシンプルな17条憲法のような骨太の根本思想で固められた憲法があればいいという感じです。

大使がいかに現在の大使になったかという点を解き明かしてくれる最も具体的な記載部分は、ジョン・F・ケネディ第35代米大統領の登場~暗殺に至るところでしょう。ケネディさんが大使の運命を決めたと言えるようです。決定的なのが、やはり暗殺事件で、これがきっかけで外交官になることを決めています。大使は、さほど勉強をしていなかったようで、この決意から勉強を始めて、一浪して京大に入学。在学中に国家公務員試験に合格して、中退して、外務省に入省したというわけです。やはり頭のいい人は勉強を本気で始めると伸びが違うのですね。結局、大使の半生的な振り返りは、これ以外はなかったのでした。この本への期待するところは私の思い込みということでした。ということでこの本を一言で表現すれば、日本人らしく正しく生きるための考え方伝授の書ということですね。この点を意識すると、この本は大使のユニークながら歴史に根差した視点満載の滅茶苦茶価値の高い本です。1400円は安すぎるというか、大バーゲンと思います。

内容は深すぎて、エッセンスだけ拾うのは無理だと分かりました。ですので、是非、実際に読んでみてください。↓珍しくアマゾンのリンクを貼りました。評価のコメントを見ると、素晴らしさが分かります。

強いて特に大使独特の思想と思うところを挙げます。『第3章 日本人の感性は物質世界と霊的世界』全体とも言えるのですが、この冒頭でインタビュアーがトピックに取り上げている「見えないものの価値」についてです。大使が価値を置いている見えないものを具体的な言葉にすると「感性」とのことです。感性を具体的な何かの言葉で表現するのではなくて、受け止めたものをそのまま受け止めるということでよいと仰っています。昔から必ずしもすべてを言語化しないというというのが日本のやり方とのこと。現代のグローバリズムの世界で融和できるやり方ではないでしょうが、日本人としてこれを捨てる必要はないということですね。

日本がグローバリズムに打ち勝ったときに、この書物は名著として日本人の多くに読まれるものになるのでは、と期待します。

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