デジタル機器と子供の教育
2021年に一番売れた本(新書?)というスェーデン人、アンデシュ・ハンセン著の『スマホ脳』(新潮新書)をようやく読みました。この本は出たばかりの頃に買ってあったのですが、個人的には切羽つまったところはなかったというか、予備知識のつもりで読んでおこうと思った本でした。スマホに関しては、私は、特に会社TWメインになって出社が週1から週2に変わった頃から、少なくとも外では使用時間が減ったと思います。それは、私の通信プランが月1Gまで最安値に抑えているから。月8回の会社出社でそれなりに使うと1Gを超えるのです。全体で、外で使う分を自宅のWiFiで使っているかは不明ですが。
自分に関してはそうだったのですが、この数カ月の状況でスマホ脳を読んでおかないと、という気持ちが強くなっていました。それは、子供たちへの影響が気になって来たからです。まず、長男は、中学進学と同時に、約束していたAndoroidのスマホが手に入り、彼の叔父からiPadを進学祝いとしてプレゼントされ、Switchを買い、母親のSurfaceを借りて使うという、デジタル機器に溺れた生活をしています。一方の長女は、小6なのですが、見守り携帯の使い勝手の悪さや、私のKindleを乗っ取って動画を見まくったり、母親のiPhoneを借りてFacetimeやゲームをしたりという現実を受け入れて、一年早く見守り携帯→iPhoneのスマホに変えてやったところ放課後は自分のiPhoneを寝るまで手放さない生活になってしまいました。こんなに小さい頃からスマホ漬けになってしまう影響は?と危惧したのです。
それで『スマホ脳』を読んでどうだったでしょうか?子供が読んでくれないので、子供用のサマリーをA4一枚程度にまとめたので、そこから適当にコピーします。
- 調査によると人は1日に2600回以上スマホを触り、平均して10分に一度スマホを手に取る
- また、3人に1人が夜中に少なくとも1回はスマホをチェックする
- 現代、人はスマホに一番集中する(意識が行く)
- 何々かもしれない、でスマホを使う
- 調査によると、スマホ依存しやすい人は自尊心は低いが競争心が強く自分を強いストレスにさらすタイプ
- 作業を並行して行う(マルチタスク)ことを頻繁に行う人は些末な情報を選り分けて無視することが苦手
- 常に気が散る人はほぼ確実に脳が最適な状態で動かない
- スマホが近くにあると、脳はスマホを無視することに知能の処理能力を使ってしまう
- 長期に残る記憶を作ることは脳が最もエネルギーを必要とする作業で、これは眠りの中で行われる―睡眠が少ないと長期の記憶が弱くなる
- 記憶される情報の種類によって脳に保存される場所は違うが、マルチタスクによって、本来と違う場所に保存されることがある。そうすると記憶が取り出せないことになる
- 睡眠で、昼間壊れたタンパク質が老廃物として脳から除去される。睡眠が足りないとゴミ出しも十分されなくなる
- 調査によると、スマホを寝室にいている子供のほうがそうでない子供に比べて1時間睡眠が短い
- SNSを使うということは(多ければ)何百万人もの相手を知ることになる。たまに競争(自分との比較)も?幸福感の低下につながる
- 調査によると、ある期間にSNSに費やした時間が長かった人ほどその後の数カ月間、人生に対する満足度が下がっていた
- 額の奥にある前頭葉は成熟するのが一番遅く、25~30歳まで完全には発達しない。この前頭葉が、人がしたいと思うことに歯止めをかける(悪い結果になる可能性がある場合)
- 調査によると、10代は大人よりもスマホを使う。特に中学生が一番使う
- 調査によると、睡眠の悩みは特に女子に顕著で恐らくSNSに費やす時間が女子の方が多く、男子はゲームをしているから
- 調査によると、10か国の学生を1000人集め、スマホをなくせばどんな影響があるかを調べようとしたが、半数以上が実験を中断してしまった。理由は禁断症状。
- 結論として、子供たちが能力を発揮するためには毎日最低1時間は身体を動かし、9~11時間眠り、スマホの使用は1日最長2時間までにする
私は、スマホの使用のしすぎで脳の構造に変化が起こり、大きくなってからの後遺症を心配しているのですが、この内容を見ると、それはなさそうだと感じました。長男は、幸か不幸かマルチタスクはしないタイプだし、長女は、まだSNSに没頭するところまでは行っていません。現状、影響が大きいのは、眠りに入るのを邪魔すること、全体的な睡眠不足ぐらいでしょうか。子供が、連続してスマホを5時間以上とか使うのは、上記中、マーカーをした要素が原因と思われ、スマホに限らずですが、親が制止してやらないとまずい理由なのだと知りました。
デジタル機器がまったく身近になく、家の娯楽といえば、漫画雑誌やテレビのアニメやドラマぐらいだった私の時代からすると、子供の娯楽は多岐にわたり、デジタル機器が非常にパーソナルで、見えないところで使いやすいものである性質のものであるゆえ、親から制止しずらい状況になっています。『スマホ脳』の宣伝文句にもなっていますが、故スティーブ・ジョブスさんを始め、IT業界のトップは子供たちのデジタル機器の使用を制限しているということです。制止に苦労している親の立場としては、どうやってうまく制限しているのだろう、と知りたいところです。学校でもデジタル機器が導入されているし、デジタル機器でのインターネットを使った友達との遊びとか、子供の健やかな成長を護るべき親にとっては難しい時代ですが、これも現代の親世代の解決すべき課題です。同じように情報共有の便利な時代なので親同士で情報共有したいところですが、各家庭で環境も、子供の個性も、友人関係もまったく違うのが難しいところですね。私も、こればかりは悩むところが多い分野なので、引き続き勉強して、改善したいと思っています。