インボイス制度の問題は消費税に行きつく
私は大学では経済学部を専攻したのですが、卒業が1983年です。今回のテーマの消費税が日本で導入されたのが竹下内閣のときの1989年なので、経済学部では消費税については習っていません。そもそも今の大学の経済学部では消費税みたいなものをテーマにして学生に教えるのでしょうか?これは税制の領域ですね。余談ですが、私の大学は在学時はマルクス経済学を教える代表的な経済学部でした。当時は、そういうことで、大学の講義には全然興味が持てなかったものです。そもそも、何でそんな経済学部に入ったの、と突っ込まれることになりそうです。
今日はとうとう10月1日。いわゆる2023年の第4四半期に入りました。そして、世の中で侃々諤々と議論のトピックになっているインボイス制度が実施の開始をされてしまったわけです。このインボイス制度は私も仕事で関係ある業務についているので、導入の話はよく聞いていましたが、あまり深く理解しようとしないでここまで来ていました。しかしながら、Youtubeで特に私が昨年の参議院議員選挙のときに隠れくにもり党員として懸命に応援した安藤裕前衆議院議員がインボイス制度なんて始めたら経済がさらにとんでもないことになる、と最大限の警告を発し続けておられたので、この数週間特に注目していたものでした。ただ、正直、安藤さんのお話を聴いてもなかなか理解しずらいと思っていて、それはなぜだろうと考えたときに消費税のからくりを深堀して理解していないと分からないと思いはじめました。これは安藤さんも仰っていることではあります。そこで消費税について改めて調べて、考えてみました。そして、調べてみると、とても良いサイトがあったので、そちらを紹介します。
「絶対におかしい消費税!【1】」 税金の基本は「富める者」から徴収して「貧しき者」に分配すること。赤字の零細企業に支払いを義務付けているのに、輸出大企業には莫大な還付金が!
「絶対におかしい消費税!【2】」税の基本理念が破綻している!「消費税は、弱い者いじめ税!」この“悪税”を廃止にしなければ国民の“幸せ”はない!
これは元静岡大学教授の湖東先生が消費税について根本的におかしいと主張されていることのエッセンス的な記事なので消費税とはどういうものかということは分からないと思います。先に一番手っ取り早いWikipediaの消費税の説明を読むとよいように思います。これ自体、簡単ではありませんが、事実・歴史を客観的に書いてあるよい内容と思いました。(正直、私の調査は、Wikipediaと湖東先生の主張だけです)
この簡単な調査で私が知って面白いと思ったのは、日本と海外の消費税、付加価値税の運用は、そんなに違いがないこと、アメリカは、厳密には、付加価値税は導入していないことでした。そして、湖東先生の主張は、ざっくり言えば、付加価値税は、万国、税金として良い制度ではないと理解しました。また、安藤裕さんが散々言われていますが、日本の消費税は付加価値税であって、消費にかかる税ではないということ。つまり、商品が製造されて消費者の手に渡るまでの、中間の卸や仕入の段階の事業者にも売上金の10%の納税義務が発生するので、これは消費行為ではないということでしょう。そして、消費税法では、消費税とは、消費者が負担するものと決められてはおらず、事業者が年間を通じての売上金の10%を納めるものと規定されているということです。これを知ってみると、消費税を最終消費者が負担するのは単に慣習というか、事業者側の勝手なのかと思います。ただ、これは世界的に消費者が負担するようになっているらしいので、やっぱり慣習と言えるのでしょう。総括して変と思うことを列挙します。
- 消費税法でいう事業者への納税義務にも関わらず、負担は消費者がすべてというのは、世界的慣例とは言いながらシックリしない。しかも、日本の消費税は、多段階課税と言って上記の製造~小売までのすべての商取引段階での税金を消費者が払うのだ。
- 商品の値決めというのは、基本、売り手側に決定権があるので、現在の小売値段の10%の消費税というのは売り手側の思惑でどうにでもなるものなのだ。結局、消費者は、税込みの値段で買う買わないを決めるのだと思う。消費税率が上がるとか、インボイス制度で価格がまた上がる可能性があるが、消費者が買える値段ぎりぎりの商品が税金が増えることで価格設定の自由度が減ることは間違いない気がするので、税金が増えるのは売る側もメリットが少ないものだと思える。
- 消費者が払っている代金の10%はすべて国に納められていないことも非常に納得がいかない。
- 消費税の導入と共に法人税が大幅に引き下げられている。これは単純に法人がメリットを受けているということで、消費者には負担増を強いていて、酷い法人優遇と思う。
- 輸出事業者には還付金というのがあることも初めて知った。これも法人優遇の最たるもの。法人が消費税上げに反対しないこともこれが理由かと思った。消費税が上がれば、消費が冷え込んで、物を売りたい企業側もデメリットが大きいとシンプルに思うのに経団連とかは増税に賛成することが多いのだ。
- 湖東先生の主張はすべて腑に落ちる。これを全国民と共有したい。
インボイス制度はインボイス制度で内容を理解する必要があるかもしれませんが、前提として消費税制度が正しい税制ではないということで、これをこねくり回しても意味がないということになります。消費税制度が日本経済弱体化政策(日本の消費税制度について外国企業が横やりを入れてくるという事実もこれを裏付けます)を押し進める最大の問題ということを理解して、この政策を反転させることが圧倒的に大事です。