いま、カントリー音楽人気

最近、図書館で手に取ったRecord Collectorsか何かの音楽雑誌で、今、カントリーミュージックがチャートを席巻しているという記事を目にして、少々驚きました。ここでいうチャートというのは、もちろんアメリカのBillboard誌が週刊で発表する各ジャンルのヒットチャートのことです。私は、高校生から社会人になって数年間までBillboardのシングルTOP100とかアルバムのTOP200、それからカントリーのジャンルのTOP100を追いかけることを続けていました。このころ、高校生の頃は、現在の、ラジオ日本、当時のラジオ関東では、毎土曜日22時から3時間、湯川れい子さん中心のスタッフで、アメリカで制作された全米トップ40という番組の日本語解説版を放送していて、それをずっと聴いていたり、毎土曜日だか日曜日の午後からは、その全米TOP40のカントリー版のAmercan Country Countdown(ACC)という番組が、現在のAFN(American Forces Network)、当時のFEN(Far East Network)で放送されるのを本当に欠かさず聴いていて、熱心にノートに独自のスタイルでチャートを書き写して楽しんでいたものでした。今思えば、怠惰な高校生生活、学生時代を過ごしたものと感じるばかりなのですが、自分の性格に合っていた趣味だったのでしょう。

当時のチャートって、のんびりしたもので、普通は新曲でもTOP100に入って数週目で40位以内に上昇、そこから毎週4つ程度ずつ順位をあげていって、チャートイン後10週目を過ぎてTOP10に到達、1位を取るような曲は、もう少し加速して上昇、トップになったら1~3,4週居座って、段々順位を落として行くみたいな動きをする曲がほとんどでした。最高にホットなアーチストの新アルバムから1,2曲は、40位以内に初登場して、毎週10位以上あげて、全体の5,6週目でTOPなどというのもありましたが、ほんの一握りです。チャートを追いかけるのは、20代の後半ぐらいではやめたのでいつからか分かりませんが、その後ヒット曲のチャートの動きはガラっと変わりました。その動きは、当時でもイギリスなんかはそうだったと思いますが、チャート初登場いきなり1位などと、動きが大きくなったのです。チャートを追いかける人にとっては、そんなののんびりした順位の動きは、いろいろ想像を掻き立ててくれて、より面白かったのではないでしょうか?ただ、当時の私などでも、人気アーチストの新曲が、毎週少しずつあげて行く動きは何か作為的なものを感じていてました。もっとも、Billboardのチャートでの順位付けの要素はレコード売上だけではなくて、全米でのラジオでのオンエア回数、有線でのオンエア回数、ジュークボックスでの再生回数などによった(この点は、レコードセールスだけで順位を決めるいオリコンは見習って欲しかった)と思うので、動きがスロー気味になるところは理解できなくもなかったのですが。結局、インターネットの普及が、チャートの性格をガラッと変えたと言えばそれは非常によく理解できます。

そんなわけで、この数十年のロック、ポップス、カントリーのチャートの情報はよく知らなかったのですが、上記の音楽雑誌で見たところでは、最近はカントリーのアーチストがカントリーではない全体のいわゆるナショナルTOP100の上位を多く占めているとのことでした。私が聞いていた頃の1980年の少し前には、Ronnie Milsap、Dolly Parton、Mickey Gilley、Crystal Gayleなど、カントリーアーチストがナショナルチャートの上位に来る一時的なブームがあったこともあったのですが、現在は、それを凌ぐようです。Taylor Swiftがカントリーから出て一気に全米トップに上り詰めた現象は知ってはいます。この状況は、それが契機でそうなったのか、よく分かりませんが、時代を映す現象かも知れません、ちょっと調べたのですが、Morgan Wallenというテネシー州出身の現在30歳のカントリー歌手は、デビューからアルバムがカントリーチャートNo.1、そして2,3枚目のアルバムが全米アルバムチャートでNo.1しかも、2枚目がトータル10週、3枚目がトータル18週の間、1位に座ったとのことです。これはTaylor Swiftでもしていないチャート成績のようです。今の私はアメリカの文化にどっぷりと浸かる気にはならないので(Kansascity Chiefsが王者を続けるNFLとスーパーボウルは例外です)深追いはしませんが、Youtubeでちょっと演奏を見た限りでは、これまでのカントリーと違いの感じられない伝統的なカントリーを聴かせる人と思えました。この人の音楽性は、カントリー史上断トツの実績を残したGeorge Straitとか、Clint Black、Alan Jacksonなどのようなカントリーらしいカラッとした陽気系のものとは違って、フォーク的な影もあるメッセージ性の強い音楽なのかとは感覚的には感じました。その感覚があっているとすれば、今のアメリカにも影を落とす、伝統破壊の社会現象を反映した人気なのかもしれません。

そんな中、私のパソコンのMusic Cneterに入っている音楽ファイルのうち、ふと、Michael Martin Murpheyを聴いたら、彼はまだ健在なのだろうかと気になって、WikipediaとかYoutubeとかで探したりしました。結果、彼は時代の流れには全く見向きもせず彼らしい活動を最近までずっとしていってくれていることが分かり、流石Michael Martinと安心しました。Michael Martinは、当時、私が愛した多くのカントリーアーチストの中でもトップクラスに好きだった人で、真のアーチストだと思っています。彼自身は、きっと、自分はカウボーイだよ、というのでしょうが。Youtubeで検索すると、全米ヒットにもなったWildfireのLiveビデオ演奏ビデオが967万回再生、イメージビデオのWiidfireが2512万回、11歳の女の子とデュエットするWhat’s Forever Forが148万回、静止画で再生されるRed River Valleyが699万回再生などが目を引きます。私が熱中していた頃はもちろんインターネットもYoutubeもない時代、日本ではほとんど情報のないカントリーミュージックに触れるのはFENぐらいしかありませんでした。なので、卒業旅行でアメリカに行き、ナッシュビルを訪れたときの感激とワクワク感は忘れがたいものがあります。夢の中にいるというのはその時の実感です。それから40年ほど経ったいま、YoutubeでMichael Martinのライブ動画が見られるのは有りがたいということもできるし、距離を克服して体験に行くという楽しみが少し薄れたという負の側面もなくはないと思ってしまうところがあります。当時も見たことのなかったMichael Martinのライブを見てみると、カントリーアーチストでは当たり前とは言え、本当にプロの中のプロと思わせてくれるパフォーマンスを見せてくれます。Michael Martinの少しだみ声っぽいハスキーな発声ながら包み込むような優しい歌声は独特のものがあります。よかったら聴いてみてください。

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