自衛隊は人材の宝庫
月刊誌『致知』の最新7月号の特集は「一灯破闇」というもので、特集記事のひとつでもフィーチャーされている陶芸家・河井寛次郎さんの言葉から取っている。一灯、闇を破る。この河井さんの紹介記事も、私が全然知らない人だった(物凄い業績をあげて、その道で影響を与えたのに!)ため、大いに学ばせてもらったが、致知にして珍しい自衛隊OB同志の対談「特殊部隊に学ぶ 危機を突破する最強組織のつくり方」という特集記事のひとつが素晴らしい。元一等陸佐の新谷卓(あらやたかし)氏と元2等海佐の伊藤祐靖(いとうすけやす)氏のおふたりだが、新谷さんは、自衛隊では、特殊作戦群初代郡長や研究本部研究室長を歴任、伊藤さんは、特別警備隊の創設に関わられていたり、退官後に、リアルなストーリーとして話題になった「邦人奪還 自衛隊特殊部隊が動くとき」という小説を著している。このおふたりは、田母神元航空幕僚長とか河野克俊統合幕僚長、伊藤俊幸元海将、織田邦男元空将など高位で退官されて、メディアに登場してコメントをするような方々とは異なるが、対談で読める価値観や問題意識や愛国心は伝統的日本人そのもので、いかに自衛隊は人材の宝庫かと思わされる人物だ。以下、そのエッセンスを書く。(致知さん、書きすぎていたらゴメンナサイ)
- グローバリズムの中で日本独自の文化価値を守る必要性を強く感じて「熊野飛鳥むすびの里」を創設した(新谷さん)
- いまの日本は、防衛、外交、コロナ対策、オリンピックなどの姿勢を見ると、「何のために」という目的がわからない、国が目指している行先が見えない。行先が決まっていないと道を間違えているかどうかも分からない。(伊藤さん)
- 日本は何のためにあるのか、五年後の日本をどんな国にしたいのかが決まっていない。決まっていないから、方法論や解決策の議論ができない。(伊藤さん)
- 日本の危機や課題は複雑なものではない。国民全体で議論し、目的を決め、意思統一して当たれば解決できる。目的・意思が不透明なことが日本の最大の危機だ。(新谷さん)
- 特殊作戦のオペレーターに求められるのは、いまあるものとは全く違う状況を作り出せる「ルールメーカー」だ。経済や企業活動にも通じることで、何事もルールを作った者が勝つ。日本にはルールメーカーを育てる発想がない。現代におけるリーダーはルールメーカーのことを言う。(新谷さん)
- 任務遂行にあたって、自分にとって何が一番大切なのか、任務か、名誉か、金か、出世か、その順位を縦列の決めておけば、本能は残るが、それ以外のところで迷うことはない。(伊藤さん)
- 死を身近にあるものとして意識すれば、日々の訓練や任務でも、今やるべきことに集中して、むしろ生き残る可能性が高くなる。(新谷さん)
- 日本を守り、蘇らせていくために一番大事なのは、政治をどうこうするということではなく、一人ひとりが日本人としての生き方をしっかり実践すること。(新谷さん)
- いまの日本人には自分の生命・財産以外にも守るべき存在があることを知ってほしい。(伊藤さん)
- 本気でないと何事も成せない。本気で取り組むためにそれ以外のことをどれだけ捨てられたかが、生きるか死ぬか、成功を不成功を分ける。(伊藤さん)
厳しい環境を生き抜いて来た子は強くなると言われるが、戦後の日本で厳しい環境に置かれてきた自衛隊の方々は、まさしく厳しい環境をくぐり抜けて来て、多くの人材が輩出されているのではないかと思う。日本は、日本精神を守ってきた自衛隊に学ぶできである。そして、いつまでも自衛隊を過酷な環境においていてはいけないと思う。
自らが予備自衛官で、チャンネル桜のキャスターなどで、常に自衛隊に寄り添った言論活動をしている葛城奈海さんが6月2日発売したばかりの本を出されました。この本を読んで、自衛隊のことももっと知りましょう。