致知の英語版があればいい

今月も致知(5月号)を一気に読み終えました。今月が地味だったなー、という印象ですが、トップ記事の東京海上ホールディングス会長の永野毅さんのお話は遥か昔の私のリクルートの頃も今もトップクラスの大学生人気企業であり続ける企業の魅力を教えてくれて、またひとつ学ぶことができました。私のリクルート活動には、銀行とか保険とか金融系の企業は一切頭になく(そもそも採用の可能性のある成績は取っていないし大学もそのレベルにはなかったのですが)、なぜ東京海上ホールディングス(当時は東京海上火災保険)が人気企業であるのかマトモに調べたことはなかったのですが、単にサラリーが高いだけではなく、企業風土にも魅力があるという評判があるからなのだと会長の話から察することができました。毎月の致知の特集記事は好き嫌い関係なく読むことはMUSTにしているので、もともと関心のない分野で、たったいま成功している人々や、過去の偉人や、その分野の状況を初めて知ることができることが多く、これが致知の魅力のひとつと思います。

永野会長の入社時から社長就任後までの話を読んでみると、あまり権力争いとかドロドロした企業内の人間関係の様子は想像できず、社員は皆、顧客へのサービスに目が行っていて、その中で優秀なリーダーが幹部になって行くという実力主義の企業風土であるように見受けれられました。実際のところはもちろん分かりませんが、個人としての永野会長は、社員として、部長として、役員として、社長として会社でされてきたことは、正攻法の実力者の仕事ぶりという印象です。永野会長の入社に至る経緯とか読むと、ご本人は社長を狙うという目標はまったくなかったのではないかと思えたのですが、そういう形で入社して以後、社長になる目標を持ち、社長としてのスキル、人間性を持つためにどういう努力をされたのかは一度、『私の履歴書』みたいな文献を読んでみたいと思わせる方です。

そんな永野会長のインタビュー記事を読んで素直に、素晴らしいビジネスマンだと感嘆する一方、不思議に思ったことがあります。東京海上ホールディングスが所属する経団連、経団連と経済3団体を構成する経済同友会および日本商工会議所。これらは、力を持っていて、日本の経済政策を大きく左右しています。そして、経団連はよく親中的なスタンスをとるのです。理由は、中国が大きなマーケットで企業は取引を有利に行いたいから。永野会長は、ちょうど今年2022年6月に経団連副会長に就任することになっているので、経団連に大きな影響力を与えるのはこれからということになりますが、歴代の会長の元、経団連はいつからか親中を貫いてきたのです。経団連会長になるような企業トップがいずれも永野会長のような優れたビジネスマンだったかどうかは全く分かりませんが、日本という一番大きな組織の中の企業トップたる人物たちが日本の国益を考えずにひたすら企業の損得を第一に考えるような狭量な思考で経団連の方向性を決定しているということは非常に不可解なのです。経団連副会長というポジションが経団連の方針決定にどれだけ力を持てるのかも分からないところですが、永野会長が副会長になっての経団連の動きには注目してみたいと思います。

さて致知ですが、致知の読者は11万人とのことです。かつて致知とゆかりの深い森信三先生が致知の読者が10万人を超えたら日本が変わると仰られたとのことです。日本が変わったか変わりつつあるかは分かりませんが、致知の読者がそれだけ大きくなっていることは間違いなく潜在的な日本のパワーになっていると思います。しかし、現在の日本を取り巻く国際情勢やその中の日本が持つ多数の巨大な課題を考えるにつけ、致知で日本人の多くが人間力を強化するだけでは全然足りないと思わざるを得ません。日本以外の外国の人々は日本人のような人間的な他者への思いやりに富んだ人間性は持っていないからです。もちろん他国には他国の人間学があるのかもしれませんので外国を責めているわけではありません。仮説として他国も日本の人間学を学び、共感するところがあるとしたら、致知の英語版(世界の公用語として)があればとふと思いました。

ところで、昨年ベストセラーになった『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(2021年元旦から1年かけてこれを読みましょうを参照ください)の続編が発刊されています。続編のタイトルは、『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』です。発売が今年の2月末ということで、1月1日から読めなかったので、私は、4月1日から一日一話を実践しています。日本人の私たちだけでも明日を信じて人間力強化に努めましょう。

このサイトをフォローする

致知の英語版があればいい” に対して1件のコメントがあります。

  1. Very good article. I certainly appreciate this website. Keep writing!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

前の記事

上海ロックダウンの衝撃

次の記事

選挙行かずして国滅ぶ